〔単純系学講義:其の九〕



社会保障制度改革大綱

年金編



 

 まんず。

 久しぶりだなやー。 

 さっそくですが、マクラは抜きで、さくさくといきましょう。

 前回の講義で、前後二回に分けて社会保障制度改革についてとりあげるという話をしましたが。

 予定を変更して、今回を含めて三回に分けて、社会保障制度改革の具体的内容について講義をしていきたいと思います。

 ちょっと分量が多くなりすぎるんだよね、一回でやろうとすると。

 俺も性格的に、あんまり長いのは講義やってるうちに嫌になってくるし。

 では。

 今回の講義のお題は「社会保障制度改革大綱・年金編」。

 まず。

 これは俺が以前から主張していることだけど、基礎年金部分、つまり国民全員が加入している年金の最低保障部分については、現行の保険方式から完全税方式に転換します。
 財源は、一般財源と消費税。
 今でも年金の財源のうちの3分の1は一般財源で賄われているから、結局は従来保険料収入で賄われてきた部分が消費税にとってかわるということだね。

 基礎年金の主要な財源を保険料方式から税方式に切り替える理由はいくらでもあるんだけど、全部説明しているときりがないので、今回の講義では、そのうち主要な2つの理由についてだけ説明します。
 一つ目の理由は、それ以外の方法では公的年金制度そのものが維持できないから。
 二つ目の理由は、完全税方式こそが今後の日本における真に公平な年金制度といえるから。

 まず第一の点について。

 今までの保険方式の年金制度は、サラリーマン中心の就業構造でかつ終身雇用制が前提となって運営されてきたんだけど、いわゆる常雇用者の減少や恒常的な雇用不安が確実視される今後の日本社会において、現行の保険制度では保険料未納者の大幅増加により年金制度そのものが破綻することは、火を見るよりも明らか。
 この未納者増加の問題について、厚生労働省は「あくまでも未納者の年金制度に対する意識の低さに問題がある」という立場で、「今後は公的年金制度に関する啓蒙活動や徴収の徹底に力を入れていくので何ら問題はない」と主張しているんだけど。
 今現在でさえ、国民年金の保険料収入全体の約1割が徴収手数料や広報のために使われていて、年金の資金として国民が収めたはずの金が実際には年金に使われていないという状況があるのにさ。今後は、その徴収や広報のために流用される金が、さらに増えるということでしょ。

 未加入者と未納者を合わせると、国民年金加入対象者全体の16%。これに免除者を加えると36%。これだけの人が今現在年金の保険料を支払っていないうえに、今後は、ほぼ確実にこの数字は上昇するということがわかっているわけで。未納者の増加に比例して、徴収や広報のために使われる金も当然に増えていくわけで。
 ということは、国民が年金保険料として納めた金のうちのかなりの部分、少なくとも現在流用されている保険料収入の1割よりもさらに多くの金が、年金給付とはまったく関係のない使途に流用されるということで。
 しかも、厚生労働省から金をもらって年金のPRをしている得体の知れない公益法人は、ほぼ例外なく厚生労働省の役人の天下り先で、場合によっては同時に自民党国会議員の裏献金団体ときているわけだからさ。
 あまりにあからさまな利権の構造で、ことばもないよな。

 基礎年金の財源を完全税方式とすることで、これら現行の年金制度が抱えている未納者の増加と収入不足に関する問題は、ほぼ解消します。

 財源が消費税なんだから、そもそも納める納めないの問題なんて発生しようもないんだし。
 ってことは、これまでのように徴収や広報のために年金保険料の一部を流用する必要もなくなって、国民の納めた金はほぼ全額年金の資金として使われるわけで極めて効率的。
 しかも、徴収の事務処理は国税庁つまりは税務署に委託すればいいから、社会保険庁及び社会保険事務所の各組織も大幅にスリム化できるという行革メリットも見逃せませんね。

 年金の財源を確保して制度の安定をはかりつつ、現行の保険制度では不可避的に発生する多大な制度維持のためのコストを大幅にカットできるという、もう、いたれりつくせり石川セリの嬉しい制度改革が、財源の完全税方式化。
 そのうえ、年金制度が将来的にも安定することによって、国民の心理面、ひいては経済に与えるプラスの影響も大きいよね。 
 専門的になるんで詳しい制度的な内容は割愛するけど、財源を完全税方式にして給付額を一律とすることで、遺族年金や第三号加入者といった現行制度のもってる男女間の不公平も解消されます。このメリットもでかいっすよ。

 もっとも、いたれりつくせりなのは、あくまでも一般国民にとってということで、厚生労働省やその傘下の公益法人やそこに群がる自民党国会議員やマスコミや学者先生ども、いわゆる卑し系の方々にとっては、とんでもはっぷん駅まで10分歩いてみたら15分の、絶対に認められない「制度改悪」であることは、いうまでもないけどね。

 抵抗勢力っていうんでしょ、そういう人たちのこと。
 マスコミ用語ではさ。

 第二の点について。

 厚生労働省と自民党国会議員の言い分では、未納者が年金をもらえないのは、年金保険料を納めていなかったからであって、それは自業自得で、しかたがないということになっているんだけど。

 でもさ、保険料を納めていない人には、納めていない人なりの理由があるわけでしょ。
 経済的理由や制度の不備に基づく理由、さらには自己の信念に基づいて年金保険料を納めないという確信犯的理由などなど。
 そういう人たちが、一概に自業自得という理由で年金を受給できないという状況が、はたして公的年金制度の趣旨からいって妥当なのかどうかを、ちゃんと議論しないとさ。

 しかも、保険料を納めていない人たちも、年金財源のうちの税収入負担分すなわち一般財源の部分については、ちゃんと負担しているわけだよね。今は年金財源の3分の1、今後は年金財源の2分の1。半分も。
 年金財源の2分の1をちゃんと負担しているにもかかわらず、もう半分の保険料の部分、つまりは特別会計にまわされる分として厚生労働省や自民党国会議員や朝日新聞の直接の利権となる部分を納めていないからといって、「あなたは一円も年金はもらえません」というのは、公的年金制度としてあまりにも不公平なんじゃないの?

 結局さ、これは、公的年金制度を国の社会保障制度としてどのように位置づけるかという、制度理念に関わる問題なんだよね。

 俺は、自助を原則とする資本主義国家である日本において、公的年金制度は、あくまでも生産能力の低下する高齢期における最低限度の生活を維持するための最低限度の保障、つまりはナショナルミニマムと位置づけるべきだと考えています。

 厚生労働省や自民党国会議員やたかり命の朝日読売新聞や御用学者の清家篤先生は、公的年金の財源を税方式にすると生活保護との境界が曖昧になるとか主張して、税方式化に強硬に反対しているんだけど。
 こんなの、まさにバカならではのタメにする議論でさ。

 曖昧になってもいいじゃん。
 なにが悪いの?
 公的年金を、生産能力の低下する高齢期における最低限度の生活を保障するための制度、生活保護をそれ以外の個別の理由で最低限度の生活を維持できない人のための制度と考えれば、まさに制度趣旨の根底において共通しているわけだからさ。
 境界が曖昧になったって問題ないんじゃないの?

 厚生労働省や自民党国会議員や朝日読売新聞や清家篤先生がいってることは、納めた保険料の額と年数に応じて年金受給額が決定される現行の制度をアプリオリに「正しい」公的年金制度の姿だという前提に立っているから、生活保護との境界云々という戯言が平気で出てくるわけだけど。
 はやいはなしが、バカということだね。

 次の改革案。

 現在年金を受給している年金受給者の、受給額の上限をカットします。

 公明党や日本共産党や高齢者の猛反発が怖くて、政治家もマスコミも学者先生も誰もいおうとしないけど、受給額カットなんてあまりにも当然のことでしょ。

 今現在年金を受給している人たちの受給額がべらぼうに高いのは、選挙のたびに公明党と日本共産党が年金受給額の引き上げをパーキローのひとつおぼえみたいに大声で主張するもんで、万年政府与党の自民党としても無視するわけにもいかず、しかたなしにどんどん年金受給額を引き上げていった結果なんだけど。

 だから、もともと経済成長率や人口動態といった具体的な財政的裏付けやビジョンがあって決められた受給額じゃないんだよ。

 しかも、はじめに受給額の引き上げという結論ありきで強引にでっちあげられた経済成長率等の見込みも、いまや全部ご破算になってるわけで。

 はやいはなしがさ、今現在べらぼうな年金を受給している人の、一定額以上の部分は実質的には不当利得なんだよね。
 たしかに一応法律上の根拠はあるから、正確な意味での不当利得ではないんだけどさ。
 その法律自体が、もはや公序良俗に反しているわけでしょ。

 公務員の共済年金なんて、今はひとり年額で250万円くらいもらってるけど、漸次削減していって最終的には150万円前後まで引き下げるべき。
 厚生年金も右に同じ。

 後の世代の犠牲の上に不当に高額の年金を受給することは、足ることを知る、そして公平かつ義務を果たすことを旨とする日本の今後のありかたとは相容れません。

 次。

 厚生年金と共済年金の2階部分を廃止します。

 原則として、公的年金制度は現在の基礎年金部分のみを残して、2階部分は準公的年金としての確定拠出型年金及び民間の個人年金で、各自が運用する仕組みにするわけだね。

 現行の厚生年金制度の具体的な内容については詳しく書いてると長くなるんで割愛するけど、要は国が税金使って保障するナショナルミニマムとしての公的年金制度は国民一律の基礎年金だけでいいんじゃないの、ということです。

 最近日本でも導入された確定拠出方年金は、あれはアメリカのやつの看板だけ借りてきた羊頭狗肉の使いもんにならない制度だから、もっとちゃんとした使い勝手のいいメリットのある制度にして、国民が各自で2階部分の年金資産形成ができるようにするべき。
 あ、財形貯蓄制度と国民年金基金は廃止ね、もちろん。

 そもそもさ、この厚生年金こそが、厚生労働省と自民党国会議員とマスコミと学者先生どもが群がっている利権を生んできた最大の温床なんだよね。
 厚生年金の2階部分を廃止することで、これまで厚生労働省と自民党国会議員とマスコミと学者先生どもが国民からくすねてきた金を取り戻して、すべてを国民自らに還元される年金源資として運用すことができるわけだ。

 それに、厚生年金や企業年金の場合、国民年金加入者よりも国からの税補助を多く受けられるんだけどさ。
 一般に国民年金加入者よりも収入の多い、よって年金以外の資産形成も充実している厚生年金加入者が、さらに国から多くの税補助を受けられるというのは、富の再分配的性質をもつ社会保障制度としていかがなものでしょうね。

 あと、厚生年金の2階部分を廃止することで、企業の年金負担が減るというのも大きなメリットだね。
 こういうことをいうと日本共産党が口から火を吹いて怒るんだろうけどさ。とりあえず、あの人たちのことは無視。
 先にも触れたように、今後の日本では常雇用が減って、パートや派遣、契約社員といった、いわゆる非正規労働者(嫌なことばだなぁ)が増えるであろうことは、経済産業社会構造の変化や世界的な潮流からいってもほぼ確実。
 そういうなかで、非正規労働者の待遇をいかに常雇用労働者のそれに近づけるかというのが、今後の労働政策上の大きな課題になるわけで。会社にどこまで負担を求めるべきか、というのは、その中心的な論点なんだね。
 で、公的年金はあくまでも高齢期における最低限度の生活を保障するナショナルミニマムとして全額税方式で負担すべきという俺の基本的立場からは、企業は今みたいに公的年金の保険料まで負担する必要はないし、それくらいだったら、むしろ非正規労働者の雇用保険や労災保険の負担をしっかりやってもらったほうが、国と企業の役割分担としても、労働者保護の観点からも、さらには企業の競争力維持の観点からも望ましいと思います。

 最後に。

 年金支給開始年齢は、60歳からに戻します。

 厚生労働省が勝手に65歳からということに決めちゃったけど、あんなの論外。

 ITに代表される日進月歩の技術革新の波は、確実に従来の労働者の技術の陳腐化を加速化させていくわけで。
 しかも、若年層の失業問題が先進国の共通の社会問題となっている状況下。
 今後は65歳まで国民全員が働いて稼ぐ社会になるという前提で、公的年金の支給開始年齢を引き上げるなんざ、正気の沙汰じゃないね。

 そりゃ公務員の皆さんはいいですよ。
 血税使って、自分たちの定年退職後の再雇用先だけはしっかりと確保しているんだから。これまでも、実際にそうやってきたんだし。そのために、わざわざ法律まででっちあげたんだし。

 でもさ、一般国民はどうすんの?

 無理だよ、全員が65歳まで仕事して生活費を稼ぐなんてさ。

 どうせ、公務員の再雇用先の職場の仕事もぜーんぶ税金丸がかえなんだから。そんなバカなことは、やめにしましょうや。
 公務員も60歳定年で、その後も仕事をしたい人はハローワークなりフロムエーなりで各々職探しをしてさ。
 で、公務員もそれ以外の国民も、一定額以上の収入がある人以外は全員60歳から一律で年金を受給できるようにしたほうが、すっきりするし、なんといっても公平だよね。

 だいたいこんなとこかな。

 ほかにもいろいろとあるけど、大きなところでは、以上のような基本的スタンスに立ったうえで、抜本的な年金制度改革を「断行」すべきだろうね。

 そういえば。

 ここまでの講義で気がついたかもしれないけど。

 年金制度改革というのは、税制や雇用就業システム、さらには国民の意識までを含めた、まさに抜本的な社会構造改革なんだよね。

 俺は以前の講義で構造改革なんてものはないといったけど、仮に構造改革と呼びうるものがあるとすれば、それは間違いなく社会保障制度改革だと思います。

 ということで。

 次回は健康保険編の予定です。

 今回の講義はここまで。

 いやはや。

 疲れました。

 おやすみなさい。

 


今回の講義のまとめ

@公的年金は現行の保険方式を廃止して、基礎年金部分を完全税方式に転換する。

A現在の年金受給者の受給額の上限をカットする。

B厚生年金の2階部分を廃止して、確定拠出型年金等による国民個々の自主的年金運用方式に転換する。

C年金受給開始年齢は原則60歳から。


   

 (2001.10.30)





        
  凡人に訊け!          教えてGerard!



講義録



大学概要



魔法の萬保top

 

 

 

 


[PR]話題の新車を無料プレゼント中:必ず当る抽選会!今すぐ応募で簡単GET