〔最終講義〕



萬保大学廃校にあたって

〜一方的に与えられる関係との決別〜



 

 というわけで。

 萬保大学は今回の講義をもって廃校となります。

 一年と少しの、短いようで結構長かったような気もする微妙な期間でしたが、わけのわからないProf.のわけのわからない講義を根気強く受講していただいた皆さんには、この場を借りてお礼を申し上げます。

 で。

 前回、今後の萬保大学はどうあるべきかに関して、受講生の皆さんの意見を広く募集したところ、日頃の萬保大学ヒット数に比して不均衡に少数の回答が寄せられました。
 予想どおりだけどね。

 以下では、いただいた回答のうちから一部を抜粋・引用(すべて本人の了解済み)したうえで、Prof.萬保からの簡単なコメントを加えて返答に代えさせていただきたいと思います。 

> 私は高校生なんですが(中略)いろんなサイトみていますが一番ぶっちゃけてわかりやすいのがここなので続けて欲しいです。

 俺のところがわかりやすいんじゃなくて、ほかのサイトが高校生でもわかるような説明をするだけの能力も意識もないということではないでしょうか。

> 今後の萬保大学ですが。やっぱり続けて欲しいかな。公明党に(タマ)狙われるまで、あるいは、冬柴の顔が三角になるくらいまでは。それくらいはやってもらはないとツマンナイっス。僕の尊敬するおじいちゃんの従兄弟の血の繋がっていない弟の友達も「売った喧嘩とナントカは最後まで」っていうのを口癖のように言ってました。

 「僕の尊敬する〜」以下は、思いっきりハズしましたね。謹んで『みのもんた賞』を進呈します。さっき俺がつくった賞です。

> あなたは勉強するべき人たちが誰なのかよく分かっておられると思います。だから分かりやすいんですよね? 僕はここも価値あるサイトだと思っております。どうか今までどおり続けてください。お願いします。

 勉強するべきなのは、みんなだよ。みーんな。
 人間、死ぬまで勉強。
 自分はもう勉強することは何もないと思ったら、そこで人間はおしまい。
 だから、いわゆる世のお偉いさんは、すでに死んでいる人たち。ひでぶっ。

> 断固として続けるべき。はっきり言って読みたい。池田先生だって金正日だって土井たか子(憲法学者)だって人生いやになるときはあるし、投げ出したくなるときもあるし、弱気になるときもある。しかしそれに流されないからこそ、今日がある! 冬柴だって「おれ、今日はテレビでちょっと言い過ぎちゃったかも・・。なんか段々性格悪くなるよね。ごめんね、菅直人」って議員宿舎の仏壇の前でひそかに思ってるかもしれない。でもおくびにも出さない。

 この抜粋した箇所以外もそうだけど、文章うまいんだよね、この受講生。
 とくに冬柴のくだりは笑わせていただきました。議員宿舎での光景が目に浮かぶようです。

> あとテレビをあまり馬鹿にしないほうがいいです。テレビは彼らが伝える以上の真実を伝えてくれます。森は本当に馬鹿だとか、北朝鮮に降り立って厳しい表情をしたはずの小泉が実は何も考えてないとか、冬柴は本当に嫌な奴だとか、鳩山は見た目以上に頭がイカれてるとか、二世若手政治家ってコンプレックスのかたまりだね、とか。

 これも、先の達筆受講生なんだけど。
 せっかく書いてもらったから、礼儀として全面的に反論させてもらうね。
 まず、俺は一度としてテレビを馬鹿にしたことはありません。
 「テレビは恐ろしい」という趣旨のことは何度か指摘した記憶はあるけど、それは馬鹿にするのとは全然意味が違うよね。あえていえば警告。仮にテレビ番組を作成している奴らや出演者をバカ扱いしたとしても、それはテレビがいかに恐ろしいメディアであるかを説明するための手段であって、テレビそのものを馬鹿にしているわけではありません。
 あと、テレビが伝えてくれる「彼らが伝える以上の真実」として列挙された具体例は、「テレビを馬鹿にしないほうがいい」(馬鹿にしてないけどね)という主張の根拠になっていません。
 いちいちテレビを観ないと、森(たぶん伸一ではなく喜朗)が本当に馬鹿だってわからないのかな? 小泉(たぶん今日子ではなく純一郎)が何も考えていないというのは平壌の空港で突然はじまったことじゃないし、これもわざわざテレビで観ないとわからないかな? 冬柴が本当に嫌な奴だとテレビに伝えてもらったところで、選挙区の創価学会員は学界上層部から指示されたとおり全員冬柴に投票するし、冬柴のために身を粉にしてフレンド作戦に奔走するわけだから、結局は冬柴の政治家としての地位に何の影響もないんじゃないかな? 鳩山の頭云々も、小泉の場合と同じだよね? 二世若手政治家がコンプレックスのかたまりだという大雑把な括りそのものに俺は反対だけど、仮にそのとおりだとしても、その事実をテレビに伝えてもらうことが、国民にとってどういう積極的意味があるのかな?
 以上、すべて「テレビを馬鹿にしないほうがいい」という主張の積極的根拠になっていません。
 あえていえば、「自分はテレビが好きでよく観ています」という客観的事実を述べているにすぎないと思います。

 ついでだから、一般的な議論の基本についても簡単に触れておきます。

 まず、テレビの件を具体例にとると。
 たしかに、俺もいろいろテレビについて批判をしているけど、なかでも最も問題にしているのは、「圧倒的な影響力をもったテレビの報道が国民世論を誤った方向に導いている。しかも、その事実についてテレビは一切責任をとろうとしない」という点だよね。
 だから、俺の見解を批判しようと思うなら、「テレビの影響力はたいしたものではない」、あるいは、「テレビの報道によって国民世論は間違った方向に導かれていない」、はたまた、「テレビは自らの報道について十分に責任をとっている」、ということを主張して、その具体的事実を指摘するべきなんだよ。
 にもかかわらず、テレビを観ていると森が馬鹿だとか小泉が何も考えていないことがわかると主張されたところで、正直いって、どう対応していいのか困ってしまいます。

 別の例をあげましょう。
 仮に、「タバコは3大成人病の危険因子となるから有害である」と主張する禁煙家氏がいたとします。
 その禁煙家氏に対して、「いや、タバコ税は地方自治体の重要な財源になっているから、タバコは有益だ」と反論する愛煙家氏がいたとしましょう。
 ほらね。
 ぜんぜん議論がかみ合ってないでしょ?
 禁煙家氏がタバコは有害であると主張する根拠は、「タバコが3大成人病の危険因子になる」という事実にあるわけだから、それに反論するためには、愛煙家氏は、「タバコは3大成人病の危険因子にはならない」という事実を主張するべきだよね?

 あと、テレビが好きなのは(ほとんどの日本国民がそうだろうけど)、それはそれでいいと思うよ。
 誰に迷惑をかけるわけでもないし、そもそもテレビを観る観ないは日本国憲法第13条及び21条で保障された日本国民の権利だしね。
 ちなみに、「金のかからない暇つぶし」と「共通の話題のない人の間のコミュニケーション・ツール」という、少なくともふたつの意味おいて、俺はテレビの積極的意義を認めています。

> 私、某談合体質大手企業に勤める39歳男性です。いつも先生の講義を楽しみにしている一人として、廃校には反対です。(中略)先生には今後も徹底的に無自覚、無思考、無責任な世の中の権力者達のことを分析し、批判し、馬鹿にしていただいて、私たちしがないサラリーマンオヤジの溜飲を下げていただきたいものです。頼むよ〜!萬保ちゃ〜ん!応援してるんだよ〜・・・・・

 いかにも大企業の中堅サラリーマンらしい四角四面の書き出し。
 かと思うと、一転して、やけに馴れ馴れしいギョーカイ口調。
 しまいにゃ泣き落とし。
 はっきりいって好きだね、こういうジェットコースターみたいな文章。
 狙っていないところが清々しいです。 

> 一度更新されなくなった時のショックはもう味わいたくないので続けて欲しいっす。(中略)毎回楽しく読んでました。が、読んでいるだけでレポート提出はしてませんでした。やる気をそいですみません。

 その点に気づいただけでも、大多数の萬保大学受講生に比べて到達度が格段に高いといえます。謝る必要はありません。自信をもちましょう。

> 「『魔法の萬保』再開にあたって」で書いておいでだったように、御自分が楽しめる内容にしては如何でしょうね? スパーク大学のセンセイ方とかパーマの御仁を相手にして楽しむことは、あれらの人々と同調できる人に任せておくとして。

 大変参考になるご意見です。
 手はじめに、M2の相手は小島慶子(TBSの誇る大型女性アナウンサー)に一任することにしました。

> 結論から言えば、廃校せず続けて欲しい、と思います。面白い文体で、本質に迫る話をネット上で講義して下さる萬保大学はスッポンであるウチの大学文系学部センセイの講議やもう一匹のスッポンであるマスコミなんかとは比べものにならないピッカピカのお月様であります。

 ウチの大学の先生の講義やマスコミの報道は金がかかるが旨くて滋養がある、Prof.萬保の講義はタダだけど煮ても焼いても食えない、と。
 そういうことかな?(←からんでどーするよ)
 あと、大学名と学部くらいは教えてちょ。

> 女装してみるのはいかがでしょう?

 ごめん。
 もうやってる。
 趣味なんだ、女装。今まで黙ってたけど。
 リクルート事件で日本中の注目を集めていた時期、江副正○に、「女装して山手線に乗ると気分転換になっていいよ」と勧めておきながら、その情報を写真週刊誌にリークして小遣い稼ぎしたの、あれ、俺だもの。
 あと、これも趣味で、毎年春になると女子高の通学路でコウモリ男のコスプレやってるんだけど。
 でも、なんだか飽きちゃったんだよね、そういう遊びも。
 今度エイサーでも見物に行きますかね。

 と、まあ。

 こんな感じかな。

 抜粋・引用した以外にも、いろいろな意見があったけど、まあ、キリがないのでこのへんでやめておきましょう。

 とにかく、回答を寄せてくれた受講生の皆さんには感謝感謝です。

 さて。

 そろそろ締めに入りましょうかね。

 前回の講義で、「一方的に与えられることを当然と考える戦後民主主義の申し子みたいな受講生のために今や苦痛でしかない講義を続ける義理もない」というくだりがありましたが。
 今回、回答を寄せていただいた受講生以外の受講生については、文字どおり「戦後民主主義の申し子」と判断させていただきました。

 そして、全受講生の9割を超える「戦後民主主義の申し子」の皆さんには、胡散臭い萬保大学の講義よりも、記者クラブ制度及び免許制及び再販価格制度という国家権力との太いパイプを後ろ盾に安穏とした自己保身を身上としているテレビや大新聞、つまりはエスタブリッシュメント系メディアのほうが、より適合的であると思います。

 それに、よく考えると、テレビというのは本当に素晴らしいですよね。
 筑紫哲也、久米宏、田原総一郎の、いわゆる『3W』(俺が命名。どーしてWかは説明不要)をタダで観放題だもの。
 ありがたくて思わず画面を拝んでしまいそう。

 というわけで、戦後民主主義の優等生の受講生の皆さん、さようなら。
 今後は、充実したテレビ・ライフを送ってください。

 なお、今回、回答をいただいた受講生、つまりは「一方的に与えられることを当然と考えていない」受講生の皆さんには、追って新しく開設するHPのアドレスを個別に発信します。
 そんなもん知りたくないという受講生は、その旨ご連絡ください。嫌がらせで迷惑メールを送ったりしないのでご安心を。

 ちなみに。

 「一方的に与えられることを当然と考えるメンタリティないしは人格」のことを、日本では古来「たかり」と呼んで、きわめて恥ずかしいことだと考えられてきました。
 ところが、先の大戦に敗北してアメリカの属国となって以降、日本人は「たかり」が恥ずかしいことであるという伝統的な、そしてきわめて正当な感覚を急速に喪失し、その傾向はいわゆるバブル崩壊後加速度的となっていますが。

 そりゃそうだよな。
 なにしろ、率先して国民に範を示さなければいけないはずのエスタブリッシュメントの皆さん、具体的には政治家、学者先生、マスコミ(記者クラブ加盟報道機関)、教育者、高級官僚、財界人等などの皆さんが、率先して「たかり」に奔走しているんだもの。
 とりわけ、政党では公明党、日本共産党、社民党(旧社会党)、新聞社では朝日新聞と毎日新聞、そして日教組が、「国民の権利」の名のもとに、「一方的に与えられることを当然と考える国民」を大量に生み出してきたという事実は、絶対に忘れるべきではないだろうね。

 あとさぁ。

 テレビというのは、典型的な「一方的に与えられる」メディアで、そういうものの存在自体を胡散臭く思わないという大多数の日本人のメンタリティは、まさに戦後民主主義の賜物という評価も可能だろうけど。

 やっぱさ、裏があるんだよ。「一方的に与えられる」というのはさ。

 結局は、モノを売りつけようとか、宗教団体に勧誘しようとか、洗脳して都合のいいように行動させようとか、そういう利得ないしは利用意図が隠されていると考えておいて、まず間違いないからね。

 どういうわけだか、俺には、そういう意図はないんだけどさ。
 せめてこんな面倒ことやってるんだから、それに対する誠意くらいは見せてほしかったな。
 最低限のギブ・アンド・テイク。
 世の中ってのは、そんなもんだよ。

 すべてがカネで動いてるわけじゃなくてさ。
 最後にものをいうのは誠意なんじゃないかと。

 俺はそう思いたいけどね。

 だから、最低限の誠意すら示していただけなかった大多数の受講生の皆さん、戦後民主主義の優等生の皆さんとは、今回でお別れです。

 その他のごく少数派の受講生の皆さんとは、新しいHPでお会いしましょう。

 ということで。

 これをもって、萬保大学はおしまい。

   

  

今回の講義のまとめ

@ 達者でな〜。
   

 (2002.10.8)





        
  凡人に訊け!          教えてGerard!



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